混合診療「患者負担が妥当」


公的医療保険が適応される診療と適応外の自由診療を併用する混合診療では、医療費全額がすべて自己負担になる保険制度の是非が問われた訴訟の上告審判決で、最高裁判所は平成23年10月25日、限られた先進医療などで例外的に保険適応分が支払われる「保険外併用療養費」の趣旨から保険給付は出来ないと解するのが相当との判断を示しました。

この裁判は、神奈川県に住む清郷伸人さん(64)が、がんの治療にあたって、公的な健康保険が適用になる診療と適用されない診療を併用すると、原則としてすべての診療が自己負担になるのは不当だと訴えていたものです。1審は、「すべての費用を患者負担にするのは誤りだ」として、国の政策を違法とする初めての判断を示しましたが、2審は訴えを退けました。25日の判決で、最高裁判所第3小法廷の大谷剛彦裁判長は、「混合診療を原則として禁止しているのは、医療の安全性を確保し、患者に金銭的な負担をかけないためで、認めないことには合理性がある」と指摘し、清郷さんの上告を退けました。これによって、国の政策は妥当とした2審の判決が確定しました。混合診療を巡っては、規制緩和の一環で7年前に解禁することも検討されましたが、保険が適用される診療が増えただけで、解禁は見送られました。
判決が重視したのは高度で先進的な医療の有効性や安全性が確認され、一般に定着するまでの間、保険給付額分を例外的に受給できる「保険外併用療養費」の存在です。この保険制度の趣旨や目的を基に、健康保険法は保険給付にあたり混合診療は原則禁止していると解釈しました。
混合診療は医学界では反対論が根強く、患者団体間でも見解が二分されています。

2007年の東京地裁判決は「保険適応部分までも給付を受けられなくなる法的根拠はない」と判断を示しました。しかし2009年東京高裁は「保険法の規定外の場合では保険診療に相当する部分も含め受けられない」と逆転敗訴を言い渡しました。清郷さんは2000年に腎臓がんと診断され神奈川県内の病院で保険適応のインターフェロン治療(リンパ球を活性化させる治療法)と保険適応対象外の活性化自己リンパ球療法をともに受けていましたが、保険適応のインターフェロン治療も自己負担となりました。

混合診療の原則禁止が維持された以上、患者側にとって希望する医療を少ない負担で受けられるかどうかは保険外併用療養費の制度の運用にかかっているので国は患者本位の視点に立った医療制度をつくることが必要だと思います。患者側が納得して決めた治療法を保険適応にならないのは矛盾していると考えます。確かに経済的な問題や安全性の問題もありますが、今の保険適応の治療法で治癒するならなんの問題もありませんが、一部の自由診療の医院では高額な治療費を請求されます。また薬剤と称して医師に提供して利益をあげている業者もいるのは事実です。それにしても安易にいっては言い過ぎかもしれませんが○○療法などと数えきれないくらい次から次へと出てきます。
化学療法のことを簡単に効果がないと言う医療関係者もいますが、現在までに生み出された抗がん剤の多くは、生命科学の発展とそれにともなう様々な技術革新の貢献によってつくり出されてきました。当然莫大な開発費と年月がかかります。
科学的・医学的な新しい知見や発見を基に数多くの新薬が誕生していますが、数万種類にも及ぶ化合物から薬の種を見つけ出す、地道な研究があり、更に、この過程で薬の種を見出しても、先には気の遠くなるような何段階もの厳しい壁がたちはだかっています。